悠々自適

日々のことをつれづれと

オリュンポスの感想・おまけ

 

 前回のおまけ。

 

 

 

 

 オリュンポスでは情緒をぶん回された挙句に着地点のないまま中空に放り投げられてそのまま京都に落下してきたので、ちょっともう少しだけいろいろと書きます、主にキャラについて。

 

 まずゴッフ。

 物語が進むにつれてそのヒロイン性を忌憚なく発揮し始めていた新所長殿、4章のユガで見事な暴走族を決めてくれたわけなのですが(なんならネモ船長じきじきに「君は操縦席の方が似合いそう」って言われてるのなかなかでは)オリュンポスで「あー、この人が新所長で良かった~~~」ってなりました。

 カイニスに遠回しに「お前だけは逃がしてやる」って言われたときに、所長としての責任ではなくて「世界を滅ぼした側の人間」としての責任を語るのが最高なんですよね……それも相当啖呵切ってるけど、実際は顔面蒼白のガクブル状態だったと思うので……それでこそスパルタクスも認めた男……

 しかし、カドックくんのときもそうだけど、なんでお前は食べ物で懐柔しようとするんだ、ふわっふわの焼き立てクロワッサンとか下手な拷問より有効打じゃないか、というかそのシーンがどどんとCMに採用されてるのとても良きです。

 

 というかなんだろう、このふわっふわのクロワッサンもそうなんですけど、オリュンポスの話は全体を通して見たときに「食事」とか「料理」のシーンが割としっかり書かれているなって。

 で、食事って成長するための栄養素の経口摂取であり、人類が築き上げてきた娯楽文化/芸術であり、いわゆる安寧と団欒の象徴的な場であることを考えると、人類種の成長を不要とし、永劫不変の恒久平和を実現したオリュンポスにあってはもう廃れていてもおかしくないものなんですよね、実際にアデーレは長いこと料理してないみたいなこと言ってるし。

 でも最初に助けられたシーンから「朝餉」をいただくシーンが入るし、エウロペが合流したシーンもみんなで食事を囲んでいたし、何より最後の最後のエピソードで武蔵ちゃんが「みんなで酒の席を設けましょう!」的なことを言ってるのが「あ~~~」という感じ。

 一方で食事と神って切っても切れないような存在のはずなんですけど(飢えとの戦いは神を崇めるに足る理由なので)、でも結局のところそれって身体の健康と健やかな成長が根底にあってこその思考なので、やはり成長そのものが「不要」となってしまうと食事というものは消えていくんだなあ……と……

 本来は人類の根源的な営みに直結するはずの食事が疎かになっている(と思しき)オリュンポスの中で、きっちり食事の場面が出てくるのとても良き……

 そして決してうどんをメニューから欠かさないし、さりげなくゴッフにオムレツ要求しているのかわいい、ゴッフの作るオムレツとか絶対にふわっふわでおいしいやつじゃん、フォウくんのためのベーコンも焼かなきゃ。

 そして礼装を見てちょっと思ったのは、マカリオスくん好き嫌い多そう(偏見)

 

 閑話休題

 ゴッフの人の良さといえば、エウロペを助けるかどうかというやり取りのときに、絶対罠だって言っておきながら止めないところ……最期のときは親しい者と一緒にいるのがいちばんなんだって言うときのあの表情よ……あんたそういうところよ。

 そういえば雀のお宿でもなんやかんやで蛇に気に入られて、結果的に蛇が裏切って(蛇だけじゃないが)解決したんだよなあ、と考えると、ゴッフの人の好さはまわり回って絶対に報われてほしさある……絶対に変な女とかに引っかかって裏切られるなよ……いやすまん、既に裏切られてたな……なんならそのせいで報告書が一行で片付けられていたやつがいたな……

 最後も「もう誰一人欠けるんじゃないぞ」って、それを指揮官が言うーーー??? この絶望的な状況でーーー???

 あとなんだろう、カイニスに対して「ひとつじゃなくてふたつじゃだめ?」とか言い出す自然体の厚かましさについてはカイニスと一緒に「お前マジか」ってなりました、お前マジか、さっきまで震えてたやんけ。

 

 続いて武蔵ちゃん。

 下総で会ったときとは別次元で強くてサポートとしてめちゃくちゃ頼もしかった……下総の君はなんだったの……まだ宝具が完成していないから仕方ない? それもそうか……

 武蔵ちゃんは一貫して「敵」と「味方」が明確で、これはこれで大事なポジションだなあと思いました。

 オリュンポスは事実、隙がない世界なので壊すために必要な推進力がどうしても減退しがちなカルデアメンバーの中にあって、その向かい風を向かい風と思わずに突き進める武蔵ちゃんはやはり必要なんだろうなあ、と。

 途中からのカイニスとのやり取りはめちゃくちゃ面白かった、なんだろう、戦闘狂ふたりの掛け合い、嫌いじゃない。

 武蔵ちゃんの再臨絵でカイニスが着物がだめになるだろもったいない、って言ってるのに意外と思いつつ、晴れ舞台なんだから晴れ着で行きます、って返す武蔵ちゃんほんとに武蔵ちゃん。

 いや、最後考えたらだめになるどころではなかったんだけどな。

 あと、始終フォウくんに懐かれていないのに、機神回廊走るときはしっかり抱えてるの笑っちゃうなあ。

 彼女の最後はネタバレで知ってはいたんですけど、実際にプレイしながら見送るとまじかあ……まじかあ………………となりましたね……まじかあ……

 うちにはアメリカの荒野で出会った浮かれポンチな武蔵ちゃんしかいないんですけど、それはそれとしてまじかあ……

 

 次いで機神の皆さん。

 デメテルに関しては解釈一致も解釈一致だったので何も言うことはないよ……なんならずっとペルセポネの名前が出てくるから、話題には上がらないけど出てくるのかな? って思ってたらふーーーんへぇーーーーほーーーーーんという展開で一周回ってにこにこしてしまったよ。

 アフロディーテに関しては割と解釈違いだったんですけど、なるほど異聞帯……という感じで逆に納得してしまった……我が夫ヘファイストスに誓って、って言い出したときは「ええ……」って若干引いてしまったんですけど、エウロペからゼウスによって一側面を焼かれている(ぺぺさんの言う「優しい方」)と聞いてはちゃめちゃに納得した、なるほど理解、これが異聞帯。

 機能としての愛を知りながら、それがなにものをも彩る装飾であることがわからなくなってるの、まじもんのバグなんだよな……

 ゼウス神に関しては正直好色という印象しかなかったんで解釈違いも何もないんですけど(義務教育の敗北かもしれない)全能神を名乗る割には小物だなーという感覚と、ただのプライドの高い好々爺やんけという感覚があって、多分どっちも間違いないんだろうなと、三柱の内で最も短い寿命を見たときにわかった……

 長いこと孤高であったがゆえに、キリシュタリアに対してあんな大人げないくらいプライドばちばちだったんだろうなあと。

 名前を与えたのは人類種だった的な会話のときに、そういえば「名前」をつける云々でどっか出て来たよなあ、アイテールのあたりだったかなあと思いつつまだ確認していない、「名前」をつけるという概念って存外に重たい出来事なので、彼らに与えた影響もまた計り知れないんだろうな、と。

 たぶん、ゼウスは人類「種」への愛が振り切れた結果のあの終着点だった気がするので、途中途中の小物然とした台詞はともかく(主に処刑付近)、割とキャラとしては嫌いではない。

 

 ところで、途中からなんとなく察したのですが、この5章でクリプターの話は終わりと公式で名言されているわけですが。

 改めてオリュンポスの世界を見ると1章から4章までの世界がきれいに練り込まれているなあと。

 異星の神に恃まなければならないという身を理解しつつも、それを拒否する姿勢であるのはロシアの皇帝に通ずるところがあるし、

 遥か自由度や文明のレベルが違うとはいえ、人々を都市の中で管理するのは北欧に通ずるところがあるし、

 芸術や文学を推奨しつつも、考えない葦であれ、と宣うのはシンの始皇帝に通ずるものがあるし、

 あちらは無垢に、こちらは意図的にやっているという差異はあれど、管理する上で不要とした機能を排するのはユガに通ずるものがあって、

 うまくまとめたなあ……というのが率直素直な感想。

 

 あと、明確な物理的な崩壊が描かれたのもオリュンポスが初めてだったので、これがひとつの「幕」なんだなって。

 

 それはそれとして。

 

 異星の神についてみんなが「ガワが所長なだけでしょ」という中、「あれ所長でしょ」と断言できるマシュと主人公、所長の最後を見届けたからわかるのかなあと疑問を抱く一方で、いやあれ所長だよ、という気持ちになるのでなんとしてでも助け出してほしい、オルガマリー所長は私がFGOを始めて初めて出会った推しなんだ。